Arduinoでローストビーフを作る(基礎研究6)

ローストビーフの特徴は「肉が生に近くて柔らかい。でもちゃんと殺菌されている。」です。
今回は、どうして「58℃で3時間」の加熱が必要か?」 を解説します。(大雑把です。悪しからず。)
内閣府/ 食品安全委員会では、「雑菌が死滅する安全な」食肉低温調理方法を指導しています。
(ご参照:内閣府/ 食品安全委員会「肉を低温で安全においしく調理するコツをお教えします!」
(令和6年3月5日更新)https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/shokuhniku_teionchouri.html
厚生労働省は、ローストビーフなどの特定加熱食肉製品に関し、その中心部分が下図の曲線の上側に位置するように加熱しなければならない、と規定しています。そうしないと肉の内部に潜んでいるばい菌が死にません。しかし、温度を60℃以上に上げるとタンパク質が変性して肉が固くなったり変色したりするそうです。だから、下図の曲線の60℃以下を狙って調理することになります。
この曲線はかなりキビシイもので、例えば設定温度を60℃にしていたのに、何かの拍子に「たった2℃低いだけの」58℃になっちゃった、とすると、必要な持続時間は12分から28分へ、2倍以上も時間が必要になります。57℃なら、約4倍の43分も必要です。
なので、最初から安全を見込んで「中心温度の設定温度:60℃、持続時間:30分」としておきましょう。

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次に考慮しなければならないのは、「肉の中心部を60℃にしようと思ったら、肉の外側から60℃で温めないと、それ以上の温度だったら肉の外側がタンパク質変性を起こして固くなる」、ということです。
では、肉の中心温度が外側と同じ温度になるまで、どのくらいの時間がかかるのか?というのが、下図です。これは「加熱殺菌や低温調理で食肉の中心温度が設定温度になるまでの所要時間」(https://foods-plus.jp/sanitation/heating-times/)のデータを参考にさせていただきました。感謝。
このグラフでは、肉の形状をビフテキのような「平板状」(無限に広い)、ブロック肉のような「円柱状」(ただ厚みと底面直径は同じらしい)、および「球状」に分けてプロットしています。
ローストビーフに用いるブロック肉は、中央部直径が50mmから60mm、長さ100mmから150mmくらいでしょうか。長軸側の両端は紡錘形になってしぼまっていますので、大雑把に考えて「厚さ・直径60mmの円柱状」と見なそうと思います。であれば、150分かかって中心部の温度が外側の温度と同じになることになります。

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この150分と中心温度持続時間の30分を合計すると、180分=3時間になります。
それでこれまで、私は「60℃を3時間」で、Arduinoでローストビーフ(正しくはポーク)を作ってきました。ただ、常温から肉を湯煎するのではなく、一度沸騰させたお湯を湯煎器に移し、それにプラスチックバッグに入れた肉を浸して温度制御していました。

【後日談】
大変なことが分かりました! 
「ローストポーク」はローストビーフより設定温度を上げなければならないそうです。
E型肝炎ウイルスが居たり、有害寄生虫が居たりするので、63℃で 30 分間以上加熱するかこれと同等以上の加熱殺菌をするよう厚労省が定めていました。
しょうがないから、これから気をつけます。

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